【父の日特集】ひよしや菓舗

親子三代で受け継ぐ伝統の味
世代を超えて愛される地域の老舗和菓子店

 植田八幡宮の東隣にひっそりと佇む老舗和菓子「ひよしや菓舗」。同店は、昭和40年に初代の藤吉勤さん(90)が起業。現在は二代目の康彦さん(60)が主に店を切り盛りするが、今年から三代目の耕司さん(26)も加わり、家族三代でのれんを守り続けている。今回は「ひよしや菓舗」の看板商品や季節の和菓子を紹介し、6月15日の父の日を前に、康彦さん、耕司さんにそれぞれ”お父さん”への思いを語ってもらった。

 店に入ると、ガラスケース越しに定番の和菓子や季節の上生菓子、この地方ならではの鬼まんじゅうなどがずらりと並ぶ。ひよしや名物「植田」の焼印が目印のどら焼きは、ふんわりと焼き上げた生地に丁寧に炊き上げた粒あんがたっぷりと包み込まれたどこか懐かしい味。また、ご当地銘菓「植田川」や「植田和太鼓」は、地元の人々に長年愛され続ける同店の看板商品だ。中でも「植田川」は初代の勤さんが手がけた商品で、昭和58年に「日本銘菓大賞」を受賞している。他にもお祝い事に合わせた赤飯の折り(1,800円〜)など、暮らしに寄り添うサービスの提供があるのも同店の魅力の一つと言える。

わらび餅や季節を彩る上生菓子(あじさい)
名菓「植田川」など土地の名が入った看板商品
昭和58年には「植田川」で銘菓大賞を受賞
ひよしや菓舗の皆さん(左から藤吉康彦さん、ゆきこさん、勤さん、耕司さん)

 初代の勤さんは、菓子作りのこだわりを「素材を生かしつつ、一つ一つを手作りで作り、自分がおいしいと認めたものを作り続けています」と話し、「今では、店は息子と孫に任せていますが、菓子作りに真面目に取り組んでもらい、皆さんに喜んでもらえるお菓子を作っていってほしい」と笑顔を見せる。
 二代目の康彦さんは「店を継ぐのが当たり前のように育てられましたが、今ではすっかり菓子作りにハマっちゃいました。まあ、店を継いでこうしてやってるってことは親に感謝しているってことなのかな?」と照れ笑いし、「和菓子の敷居を低くして、子どもさんや若い世代の方々にもおやつ感覚で気軽に食べてもらえる菓子作りをしていきたい」と抱負を語る。
 三代目の耕司さんは「父親と一緒に仕事ができる機会は貴重な時間だと思っています。昔は厳しく間違ったことをしっかり教えてくれましたが、今ではとても感謝しています。今後は自分も技術面で成長し、恩返しをしていけたら」と感謝の気持ちを語ってくれた。耕司さんは和菓子だけでなく洋菓子の技法や魅力にも触れつつ、新しいお店のカタチを思い描いているとか。
 そして店頭で接客をするゆきこさん(勤さんの妻・85)は「世代を超えて代々通ってくれる方がたくさんみえます。本当にありがたいことです」と目を細める。

 時代が変わっても、手間を惜しまず作られる和菓子と、そこに込められた家族の思い。その味わいは、これからも地域の人々の記憶に残り続けていくことだろう。

◉ひよしや菓舗
住所 天白区植田西3丁目611
電話 052-801-3735
営業時間 9時〜19時
年中無休
ホームページ https://www.kinsyachi.com/shop/0001457/

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